日新製糖(2117):表面上は1円の減配だが実際は増配と言ってよいのだが・・・
本日13:00に日新製糖(2117)の決算発表がありました。
当社を買い直すタイミングとして、減配となるだろう今期の配当予想がアナウンスされる決算発表のタイミングを待っていました。
減配を避けるために配当方針を変更?
しかし、決算発表同時に「配当方針の変更についてのお知らせ」が開示され、以下のように配当方針を変更しました。
〔変更前〕
連結配当性向(DPR)60%、または連結株主資本配当率(DOE)2%のいずれか大 きい額を基準に配当を行う。
〔変更後〕 連結配当性向(DPR)60%、または連結株主資本配当率(DOE)3%のいずれか大 きい額を基準に配当を行う。
本来であれば、
連結配当性向(DPR)60%基準
期末1株当たり予想連結当期純利益90.58 円の 60%=55 円
連結株主資本配当率(DOE)2%基準
期末1株当たり予想連結自己資本2,291.70 円の2%=46円
なので、今期予想配当は55円となるところ、DOE基準を上方修正し、17/3期配当見込みの70円から1円減配の水準に留めたということになります(1円未満は切り上げ)。
連結株主資本配当率(DOE)3%基準
期末1株当たり予想連結自己資本2,291.70 円の3%=69 円
でも、減配ではないかと思われるかもしれませんが、同じく本日発表された「剰余金の配当に関するお知らせ 」により4円上方修正された値であり(2度目の上方修正)、表面上1円少なくなったというだけで、実質的には増配と考えてよいと思います。 何と株主思いの会社だろうと感心しました。
発表を受けて株価は下落
しかし、この発表を受けて株価は下落しました。
【日新製糖(2117)1分足】
今期業績予想が連続の2桁営業減益であることが大きな要因であると思われます。製糖業界は市場縮小が継続していますので、当社の高配当の持続可能性についての不安を反映したものと思われます。
当方にとっても、今期予想は中期経営計画の計画数値を2年目にして下方修正した数値であり、ネガティブサプライズでした。
丸紅(8002)もサトーHD(6287)も同じように中計の2年目の数値を下方修正していましたが、中期経営計画の位置づけというのはそんなに軽いものなのでしょうか。
69円以上の配当は保証された?
改めて、今回の配当方針の変更を考えてみたいと思います。
DOE基準3%についてですが、分母の株主資本は下記の通りとなっており、「有価証券評価差額金」など、マイナス要因となる勘定科目もありますが、金額としては影響度は小さく、剰余金の配当による利益準備金の減少額が「親会社株主に帰属する当期純利益」を上回る場合に分母である株主資本が減少することになり、結果、DOE3%基準による配当額は減少することになります。
【連結株主資本等変動計算書】
その金額を計算すると69円×2,208万株≒1,523百万円となります。今期予想の当期純利益は2,000百万円ですが、これが1,500百万円となると、DOE3%基準による配当額は減少することになります。
少なくとも今回の配当方針の変更により、当社の利益水準を考えれば、結果として配当のブレは少なくなります。利益が大幅に増えて、連結配当性向(DPR)60%基準が採用されれば別ですが、仮にそうなったとしてもそれは配当が増えるケースなので、現段階で心配することではないでしょう。
本日の終値は1,899円で配当利回りは3.63%となります。配当利回り4%水準は1,725円。今期の業績見通しが良ければ買い下がりでしょうが、迷うところです。
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