日新製糖(2117):塩漬けならぬ砂糖漬け銘柄
東証一部上場承認を機に新たな資本戦略を策定
当社は2015年11月に「新たな資本政策」を開示して以来の保有銘柄です。「新たな資本政策」とは、
(1)中長期的なROE向上
・目標:2019年度5%、2024年度8%
(2)安定性に業績連動を加えた株主還元
・連結配当性向(DPR)60%、または 連結株主資本配当率(DOE)2%のいずれか大きい額を基準に配当を行うことを中期的な配当方針とする
・自己株式の取得については、市場環境、資本効率等に鑑み適宜実施する
(3)長期的な成長と総資産回転率向上のための投資採択基準
・長期的な成長と総資産回転率向上のための投資の規律として、リスクと戦略性のランク別に、投下資本利益率と投資回収期間を設定し、投資を厳選
(4)財務レバレッジの向上と安定性のバランス
・成長投資の加速と株主還元の増大により、財務レバレッジを長期的に改善すると ともに、継続的・安定的に企業理念を実現するため、健全なバランスシートを維持し、結果としてROEの持続的な改善を実現する。
の4つの柱からなっています。
特に注目されるのが(2)のDPR(連結配当性向)とDOE(株主資本配当率)を絡めた配当金算出基準です。(1)の通り、ROE(株主資本利益率)の目標も設定しており、<DOE=ROE×配当性向>という算式を意識したものとも思われます。
発表当時、この基準に合わせて算出される配当金は下記の通り計算されました(分割前の算出式)
【1株当たり配当予想額の算定式】
DPR60%基準
1株当たり予想連結当期純利益 258.13 円の 60%=155 円(1円未満切上げ)
DOE2%基準
期末1株当たり予想連結自己資本 6,752.49 円の2%=136 円(1円未満切上げ)
→ 連結配当性向 60%基準 155 円の方が大きいため、155 円が1株当たり配当予想額となる。
「新たな資本政策」発表の前々営業日(11月6日)には「東証一部上場承認」が発表されて株価は2,822円から3,050円まで上昇していましたが、「新たな資本政策」が発表され株価は3,750円まで一気に上昇しました。
3,750円で一株配当が155円の場合、配当利回りは4%(仮に136円だったとしても3.6%)を超えることとなります。しかしすでに「東証一部上場承認」前から30%以上も上昇していたのでおっかなびっくり購入したことを思い出します。
塩漬けならぬ砂糖漬け銘柄
配当に注目して買うのですから、将来、「配当方針が変更される」ことがリスクとなるわけですが、この配当方針は単独で表明されたものではなく、①資本効率の改善によるROE向上と同時に発表されたものです。また、②その目標の期限が2024年と設定されています。従って、この先数年で「配当方針が変更される」リスクは極めて低いと判断しました。
2016年2月には株主優待制度が導入され、長期保有株主(3年以上継続)を優遇する内容となっていることも変更リスクが小さいことを裏付けていると感じられました。
中期的に3.5~4.0%の高配当利回りを享受することができ、その高配当から株価の下落も一定限度にとどまり安心して持ち続けられる銘柄、あえて言うなら「砂糖漬け」銘柄だと強く思った次第です。
減配のリスクは?
「配当政策が変更されるリスク」は少ないにしても「減配のリスク」は当然残っています。次回は業績動向も踏まえながらこの点を確認したいと思います。
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