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エスクローAJ(6093):割安成長株発見?

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四季報予想を上回る今期見通し発表

金曜日の15:00にエスクロー・エージェント・ジャパン(6093)の決算が発表されました。

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58.9%増収、71.4%%営業増益の着地で、18/2期の予想も22.3%増収、34.7%営業増益となかなか魅力的な数値に見えます。

一方で、当社の株価推移をみると年明け以降じりじりと下げています。

【エスクローAJ 日足2年】

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1月6日の場中に発表された、17/2期第3四半期決算発表を受けて株価は大きく上昇しましたが、翌営業日(1月10日)に1,893円を付けてから下落が続いている状況で、先週末には一時200日移動平均を下回る局面も見られました。

第3四半期決算自体は好決算でしたが、四季報の18/2期の予想をみると翌期以降の伸び率の減速が示唆されていたので、断続的に利益確定の売りが出ていたのではないかと思います。

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そのようななかで、金曜日の15:00に今期の大幅増収増益見通しが発表されたわけです。金曜日の終値は1,384円、会社予想の18/2期EPS77.99を前提とするとPER17.7倍となります。

 

エスクローサービスって何?

当社の社名の一部にもなっているエスクローサービスとは何でしょう。

エスクロー(escrow) とは、第三者寄託という意味です。 エスクロー業務は、不動産取引・金融商品の金銭信託等の取引において中立的な第三者が取引の事務、履行の確認および決済を行うことによって、取引の安全を 図るための制度として、1947年に米国の西海岸で誕生 し、不動産取引決済に係る手続きを一括で行う専門サービスとして全米で普及・成長してきました。

(当社決算説明資料より)

つまり、売買契約に関わるの取引事務、本人確認、契約条件の履行確認、決済までの手続きをワンストップでエスクロー会社が担うことで、取引の安全性、効率性を確保し、手数料収入を得るビジネスモデルのようです。

 

低金利を背景とした住宅ローン案件の増加が業績に寄与

当社は、エスクローサービス事業、BPO事業に分けてセグメントの管理をしているようですが、両事業とも足元の低金利による住宅投資の拡大やローンの借り換えが業績を後押ししているようです。

(エスクローサービス事業) 

エスクローサービス事業においては、ASPサービスを中心として、不動産取引に係わる司法書士をはじめとした 専門家、金融機関、不動産事業者に対し、事務の効率化及び安全性・合理性・利便性を高める各種支援サービス を提供すると共に、株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託が提供する合理的かつ利便性の高い信託 サービス、相続手続代行サービス、不動産オークション・エスクローサービスと連携したパッケージサービスの 拡充に努めております。 

当連結会計年度においては、住宅ローン借換案件を中心として融資申込件数が増加した結果、司法書士による システムサービスの利用頻度が増加し、セグメント売上高は1,140,642千円(前年同期比72.6%増)、セグメント 利益は839,222千円(前年同期比67.3%増)となりました。

(BPO事業) 

BPO事業においては、金融機関における住宅ローン融資案件の事務を請負い、既存取引先金融機関等の業務上の 課題を解決するための事務合理化及びコスト節減ニーズに応じたサービスを提案しております。 

当連結会計年度においては、既存顧客からの受託範囲拡大に向けた営業推進を継続する一方、低金利相場を背景とした取引先金融機関からの住宅ローン融資関連業務の受託件数が引き続き順調に推移した結果セグメント 売上は1,541,888千円(前年同期比50.2%増)、セグメント利益は458,330千円(前年同期比34.8%増)となりま した。

(平成29年2月期決算短信より)

 四季報予想において今期の伸び率が大きく減速する前提となっていたのは、

住宅ローン件数は底堅い推移となる見通しでありますが、借換件数については史上最低金利により平成28年度に趨勢を極めた状況から徐々に鎮静化へ向かうものと想定されます。

(平成29年2月期決算短信より)

 とあるように、そういった「特需」の減速を織り込んだものであったように思われます。

 

低金利だけではない成長要因

平成30年2月期における事業環境については、下記のような記載が決算短信にみられます。

(前略)

不動産市場においては、新設住宅着工戸数の推移が消費税率8%増税の駆け込み以前の水準に回復しており、 新築物件の着工戸数は低金利を背景として引き続き堅調に推移するものと想定されます。また、中古市場においては、都心部を中心に成約件数が増加傾向にあり、高騰する不動産価格に対して比較的安価である中古物件への投資需要が高まっております。 

(中略)

相続市場においては、相続税基礎控除が引き下げられたことにより課税件数が大幅に増加いたしました。また、我が国における少子高齢化の進行に伴う死亡者数の経年増加から相続関連市場は拡大傾向となっており、相続時に発生する事務手続きの効率化や相続不動産の処分需要は高まっていくものと想定されます。 

(中略)

エスクローサービス事業では、収益基盤であるシステムサービスのユーザー数を増加させるための営業推進を継続し、メインユーザーである司法書士のユーザビリティ向上に努め、更なる利用頻度の増加を促進してまいり ます。また、平成29年2月期に提供を開始した非対面決済サービスは、中古市場や相続市場の拡大を背景として 増加が見込まれる非対面・遠隔地の取引について、不動産事業者や大手フランチャイジーを中心に利用促進を図 り事業を展開してまいります。さらに、子会社である株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託が提供する相続手続代行サービスや不動産オークション・エスクローサービスとの連携により、今後確実に成長する市場において必要となるサービスの開発提供を通じて増収増益を目指してまいります。 

BPO事業においては、マイナス金利の影響による低金利を背景とした住宅ローン借換案件の増加が沈静化の様相を呈している一方、地方銀行をはじめとした地域金融機関における県外案件確保の取組推進や合理化ニーズは高まりを見せております

(後略)

(平成29年2月期決算短信より)

 今期以降の業績の伸びは、低金利だけではなく、中古市場の成長に伴う取引決済の増加、相続市場、非対面取引におけるIT技術活用など、大きな変革の流れの中にあるような気がしますが、どうでしょうか。

 

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