丸紅(8002):日経新聞は丸紅がお嫌い?
日経新聞の記事に違和感
本日の日経新聞の「スクランブル」ですが、配当を重視して銘柄選びをしている投資家の皆様の中には「違和感」を覚えた方も多かったのではないでしょうか。
下記の「高配当銘柄の株価は堅調」としてリストアップされた、7銘柄の株価パフォーマンスと配当利回りに関する表についてです。
「大型株で配当利回りの高い銘柄は?」と問われたら、キヤノン(7751)、日産自動車(7201)を真っ先に挙げる投資家も多いと思われます。
<日経新聞20面より>
選ばれるべき高配当銘柄が抜けていないか?
キヤノンについては今期配当を未定ならびに12月決算、日産自動車については再燃可能性のある日米通商摩擦により業績悪化懸念があることから除外したとも考えらますが、何故に三井物産が選ばれているのかと。
配当利回りが高い銘柄が高パフォーマンスということであれば総合商社の配当利回り上位は伊藤忠商事、住友商事(その次は丸紅)の順です。
総合商社4社の株価パフォーマンスについては、この第3四半期で増配を公表した丸紅(配当利回り3.0%)が最も高いパフォーマンスとなっています。
丸紅はダメな会社?
話は少し飛んで、同じく本日の日経新聞11面に「資源ビジネス、晴れぬ霧 住友鉱山・住商、銅鉱山で1100億円損失 運営の巧拙、収益力左右」という記事がありました。
住友鉱山、住友商事の減損に関する記事と思いきや
「(前略)SMBC日興証券の山口敦シニアアナリストは「資源開発の収益は価格だけでなく事業運営の巧拙で左右される」と語る。
この指摘に当てはまるのは住友鉱山だけではない。6日に決算を発表した丸紅はメキシコ湾の原油・ガス権益で、16年10~12月期に415億円の減損を計上した。矢部延弘・最高財務責任者(CFO)は「埋蔵量が計画より少なかった」と明かした。
前期も同事業で設備落下事故があり完工時期が遅延。490億円の減損を出した。2年前は北海油田で損失を出したが、このときも原油価格下落だけでなく、パートナーに運営を任せすぎたことが失敗の原因。当時、国分文也社長は「コストに対するコントロールがきかなかった」と語った。
資源価格に振り回されないためには事業運営能力を磨く必要がある。パートナーとの連携、生産コストの削減努力が欠かせない。うまくいけば資源価格の上昇局面では業績回復の勢いは増す。
好例が三菱商事だ。石炭価格の急上昇を受けて、17年3月期の連結最終損益は4400億円の黒字(前期は1493億円の赤字)に回復する。価格下落時に採掘現場の自動化などに努めたことが奏功した。三井物産も鉄鉱石の生産コスト低減効果もあり、今期の業績見通しは上振れする。
資源価格上昇で、すべての事業者が潤うわけではない。一つ一つの事業の運営状況をつぶさに見れば、それぞれの企業の資源ビジネスの成長力がはっきりしてくる。
ということで住友商事、丸紅より三菱商事、三井物産の方が事業運営能力が優れていると取れる内容となっています。
特に丸紅は「前期は」「2年前は」と住友金属鉱山、住友商事の減損をきっかけに書かれた記事にもかかわらず、特に酷い会社という扱われ方となっています。
実際、マーケットの総合商社に対する評価を反映した記事なのでしょう。住友商事、丸紅は事業運営能力に不安があり株価がディスカウトされその分配当利回りが高くなっているとも考えられないこともありません。投資家にも過去の経緯も含めて情報が伝わるのは有益だと考えます。
しかし、丸紅株主のポジショントークと言われればそれまでですが、選択基準の解せないリストで、思わず取り上げずにはいられなかった次第です。
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